引用文献のスタイル
引用文献に記述する書誌情報としては、ジャーナルの論文であれば、著者名、論文タイトル、ジャーナル名、巻、号、開始ページ、発行年があります。これらをどのように記述するのか、そのスタイル(書式)がジャーナルごとに決められ、投稿規定で定義されています。著者は各ジャーナルで定義されたスタイルで引用文献を記述する必要があります。
引用文献の記述スタイルの定義は、分野ごとに国際的な慣行があり、各学会、ジャーナルごとに、どのスタイルを使用するのか決めています。この国際的な慣行は、Style Guideとして発行されており、引用文献のスタイルだけでなく、書籍、論文の原稿そのものも含めて、どのように記述するのかが定義されています。
代表的なスタイルの紹介
代表的なスタイルを紹介します。
● 英国のスタイル
・The Oxford Style Manual
● 米国のスタイル
・The Chicago Manual of Style
また、アカデミックな分野に限定すると、各分野ごとに中心となる学協会が定義したスタイルがあります。
● 化学系
・ACS Style Guide
<例> Deno, N. C.; Richey, H. G.; Liu, J. S.; Lincoln, D. N.; Turner, J. O. J. Amer. Chem. Soc.1965,87, 4533-4538.
● 医学系
・American Medical Association Manual of Style
<例>Moldofsky H. Sleep, neuroimmune and neuroendocrine functions in fibromyalgia and chronic fatigue syndrome. Adv Neuroimmunol. 1995;5:(1):39-56
さらに、医学・生物系全般の定義として、バンクーバー方式があります。
<例>2. Yank V, Rennie D. Disclosure of researcher contributions: a study of original research articles in The Lancet. Ann Intern Med. 1999;130:661-70.
バンクーバー方式は、その名のとおりバンクーバーで開催された会議で決められ、その後NLM(National Library of Medicine:米国国立医学図書館)により、投稿する際の統一規定とされたものです。このスタイルは、本文中の対象と引用文献の記述を結びつける方法として、番号を本文中に記述し、引用文献を番号順にリストする方式に決めたものです。
別の方式としては、ハーバード方式があり、こちらは本文中に著者名と発行年を記述し、引用文献を著者名・発行年順にリストすることとしています。本文中の対象と引用文献の対応関係の記述方式としては、どちらかとなっています。
また、同一資料内であれば、巻とページで論文を特定できるように決めているのも特徴的です。これは、NLMのデータベースであるMEDLINEに論文を登録し、検索することを前提に決めたものなのですが、MEDLINEのインターネット版であるPubMedでの書誌事項による検索では、号を使用できなくなっている点からもその意図があらわれています。
● 物理学系
・APSのスタイル
<例>J. M. Smith, Phys. Rev. B 26, 1 (1982).
● 工学系
・IEEE Style
<例>[1] R. E. Kalman, “New results in linear filtering and prediction theory,” J. Basic Eng., ser. D, vol. 83, pp. 95-108, Mar. 1961.
● 人文系
Modern Language Associationが定義しているものがあります。
・MLA style
<例>Shefter, Martin. “Institutional Conflict over Presidential Appointments: The Case of Clarence Thomas.” PS: Political Science & Politics 25.4 (1992): 676-79. Print.
日本語論文の引用
引用文献を日本語表記する場合のスタイルは、分野ごとに中心となる学協会の規定に準じているのですが、統一されてはいません。そこで、科学技術振興機構がSISTで参照文献の書き方を提案しています。
引用文献の記述
引用文献の記述を日英どちらの言語で記述するのかは、引用する論文が日英どちらで記述されているのかによって決まるわけではありません。引用している論文が日本語の場合は、引用する論文が英語の書誌(著者名、ジャーナル名、論文タイトル)の論文であれば、引用文献も英語で記述することになりますが、日本語の書誌の場合、日本語で記述することになります。ただし、英語の書誌がある場合には英語で記述することもできるので、論文自体が日本語の論文で、引用文献が英文論文/日本語論文のどちらであるかに関わらず、すべて引用文献の記述が英語になっている論文も存在します。 逆に、論文自体が英文論文であれば、たとえ引用文献が日本語書誌しか存在しない論文であっても、英語で記述しなくてはなりません。 どちらの場合も、海外のデータベースに登録された論文へのリンクを考慮すると、英語で記述しておく方が有利かもしれません。